アフリカ

サン族とは?

南部アフリカの多様な人々――言語、乾燥地の知恵、現在の暮らし

サン族の基本情報

サン族(San)は、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国など、南部アフリカに暮らす多様な人々を指す総称です。一つの「サン語」を全員が話すわけではなく、言語も暮らしも地域や共同体によって異なります。このページでは、クリック音をもつ言語、ダチョウの卵殻の水筒、岩絵、現在の教育や文化継承の取り組みを紹介します。

主な地域
ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国など
「サン」という名前
異なる言語・文化をもつ人々の総称
言語
ジュホアン語など。語族も一つではありません
このページのテーマ
クリック音、水を蓄える知恵、岩絵、文化継承

サン族はどこに暮らしている?

サンの人々が暮らす南部アフリカには、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国などの国々が含まれます。カラハリ地域との結びつきで知られていますが、「南部アフリカ」という広い地域と、一つの国である「南アフリカ共和国」は区別して考える必要があります。[1][11]

「サン族」は、一つの言語を共有する単一の集団の名前ではありません。ジュホアンシ、クウェ、ǂKhomaniなど、異なる共同体を含む総称です。歴史資料や博物館の収蔵記録では「ブッシュマン(Bushmen)」という表記も見られます。人々について学ぶときは、総称だけでなく、具体的な共同体の名前や、その人々が用いる呼び名にも目を向けてみましょう。[1][11]

サン族の言語――「サン語」は一つではない

「サン族は何語を話すの?」という問いには、まず複数の言語があり、それらは一つの語族にもまとまらないと答えられます。ジュホアン語、Nǁng、クウェ語などは、その違いを知るための例です。[2][3][4]

サンの共同体に関わる言語と、その分類の例
言語の例語族資料での表記
ジュホアン語KxʼaJuǀʼhoan / Ju|'hoan。GlottologではSouth-Eastern Ju
NǁngTuuGlottologの表記はN||ng
クウェ語Khoe-KwadiKhwe / Kxoe

この表は言語の一部を示すもので、サンのすべての共同体や言語を網羅した一覧ではありません。言語名の綴りや記号は資料によって異なるため、出典の名称も併記しています。[2][3][4]

「コイサン諸語」と「一つの語族」は別の話です。
古い資料などでは、これらを広く「コイサン語」とまとめることがあります。しかし、上の言語をすべて一つの「コイサン語族」に属すると説明すると、現在の分類の違いが伝わりません。[2][3][4]

クリック音(吸着音)ってどんなもの?

クリック音は、舌を使って口の中の閉鎖を開放するときに生じる音です。ジュホアン語などでは、ことばを構成する子音として使われます。WALSの言語データでも、ジュホアン語にクリック音があることを確認できます。[5]

聞き慣れない音があっても、単なる効果音や合図ではなく、言語の仕組みの一部です。また、クリック音があるという共通点だけで、異なる言語を同じ言語と見なすことはできません。

挨拶を覚える場合も、まず「どの言語の表現か」を確かめるのが出発点です。「サン族共通のこんにちは」として一つの表現を紹介するより、言語名と音声を組み合わせて学ぶと違いを理解しやすくなります。

ダチョウの卵殻の水筒――乾燥地で水を運び、蓄える知恵

このダチョウの卵、実は水筒でした。南部アフリカの一部のサンの人々は、中身を取り除いたダチョウの卵殻を水の容器として使っていました。ペン博物館には、ボツワナで収集された、装飾のある卵殻の水筒が収蔵されています。[6]

卵の殻が水筒になるまで

  1. 小さな穴を開ける。殻全体を割らずに、中身を取り出します。
  2. 内部をきれいにして、水を入れる。空になった殻を容器として使います。
  3. 穴に栓をする。ピット・リヴァース博物館の解説では、草や貝殻を使って開口部をふさいだ例が紹介されています。[7]

なぜ、水を地中に蓄えたのでしょう?

使い道は、持ち歩く水筒だけではありません。LanderとRussellの研究では、ボツワナのG/wiの人々が、水を満たした卵殻を地中に蓄え、乾季に備えた事例が紹介されています。同じ論文は、ナミビアのニャエ・ニャエに暮らす!Kungの人々が、採集の旅に卵殻の水筒を携えた記録にも触れています。[8]

水を持って出かけること。そして、後で必要になる水を蓄えておくこと。卵殻という容器は、いつ、どこで水が必要になるかを考える知識と組み合わさって、暮らしを支える道具になったのです。

ここで紹介した水筒の利用は、特定の地域・共同体・時代に記録された実践です。現在のすべてのサンの人々が同じ道具を使い、同じ暮らしをしているという意味ではありません。

岩絵から知る、土地と人々の関係

サンに関わる文化を知る入口の一つが、南部アフリカの岩絵です。ボツワナの世界遺産ツォディロ(Tsodilo)には、多くの岩絵が残されています。UNESCOは、その丘や水場を、サンとハンブクシュの共同体が大切にする聖なる文化的景観として紹介しています。[9]

岩絵を見るときは、描かれた動物や人物だけでなく、それが残る土地と、そこに関わる人々にも注目してみましょう。一つの遺跡や一枚の岩絵だけで、多様なサンの文化全体を説明することはできません。

現在の暮らしと、知識を次の世代へつなぐ活動

サンの人々を、遠い過去の狩猟採集生活だけで捉えると、現在の暮らしが見えにくくなります。Kalahari Peoples Fundは、生業が狩猟採集だけに限られず、農業や牧畜、現金収入を得る仕事などと組み合わされることを説明しています。暮らし方は地域や状況によって異なります。[1]

遊びやことばを通して学ぶ

同団体が支援する村の幼児教育では、遊びを通じて読み書きや数に親しむ取り組みが行われています。ジュホアンシの言語のクリック音を扱うパズルも、その一例です。言語を知ることは、音の珍しさを楽しむだけでなく、子どもたちが自分たちのことばで学ぶ機会を知ることにもつながります。[10]

南アフリカ共和国では、San Council of South Africaが、!Xun、Khwe、ǂKhomani、/Xamの共同体のメンバーとともに、権利や先住の知識を守り、暮らしを改善する活動を行っています。これは、同国内の共同体による活動の一例です。[11]

サン族について、よくある質問

サン族は、一つの民族・一つの言語のことですか?

このページでは、異なる言語や文化をもつ複数の共同体の総称として「サン」を使っています。全員に共通する一つの「サン語」があるわけではありません。[1][2][3][4]

サン族の言語は、すべて「コイサン語族」ですか?

一つの語族としてまとめる説明は適切ではありません。ジュホアン語はKxʼa、NǁngはTuu、クウェ語はKhoe-Kwadiというように、分類が異なります。[2][3][4]

今も、みんな狩猟採集だけで暮らしているのですか?

いいえ。狩猟採集との関わりはありますが、それだけが暮らしの手段ではありません。地域や共同体、個人によって、農業や仕事、学校教育との関わりなども異なります。[1][10]

ダチョウの卵殻は、本当に水筒として使われましたか?

はい。博物館に実物が収蔵され、研究でも水の運搬や貯蔵の事例が紹介されています。ただし、特定の地域や時代の記録として読む必要があります。[6][7][8]

次に、どこから知ってみる?

スライドで振り返る掲載済みの日本語スライドを、本文とあわせて見る。 卵殻の水筒の収蔵記録を見るペン博物館の資料で、実際の容器を確かめる(英語)。 現在の取り組みを読む教育や文化継承など、共同体から提案された活動を知る(英語)。 English pageサン族の英語版ページへ。

本文更新:。本文の出典は下記に掲載しています。

サン族 Visual Summary

出典・さらに知るために

  1. Kalahari Peoples Fund — The San Peoples — 地域・呼称・現在の生業
  2. ASJP — Juhoan / Glottolog — South-Eastern Ju — ジュホアン語の分類。Glottocode: juho1239
  3. Glottolog — N||ng(ISO 639-3: ngh) — Tuu語族の例
  4. Glottolog — Kxoe(ISO 639-3: xuu) — Khoe-Kwadi語族の例
  5. WALS — Ju|'hoan / Presence of Uncommon Consonants — ジュホアン語のクリック音
  6. ペン博物館 — Ostrich Egg, Water Bottle(31-2-134) — ボツワナの卵殻の水筒
  7. ピット・リヴァース博物館 — Ostrich egg vessel(2004.142.1110) — 卵殻容器の加工と栓
  8. Lander, F. & Russell, T.(2020)— A southern African archaeological database of organic containers and materials, 800 cal BC to cal AD 1500: Possible implications for the transition from foraging to livestock-keeping. PLOS ONE 15(7), e0235226 — 卵殻容器の運搬・貯蔵についての考察
  9. UNESCO世界遺産センター — Tsodilo — 岩絵と地域の文化的景観
  10. Kalahari Peoples Fund — Projects — 地域から提案された教育・文化・生活の取り組み
  11. San Council of South Africa — Who We Are — 南アフリカ共和国のサンの権利・知識を守る活動

概要

  • サン族は、アフリカ最古の狩猟採集民族のひとつであり、しばしば「ブッシュマン」とも呼ばれます(ただし、近年は差別的響きを避けてサン族が好まれます)。
  • 現代も一部地域で伝統的な狩猟採集生活を続けています。

サン族(San People)は、アフリカ南部に暮らす先住民族集団の一つです。主に:
• ボツワナ
• ナミビア
• 南アフリカ共和国
• アンゴラ
• ザンビア
• ジンバブエ
などに居住しています。
特に:
カラハリ砂漠
周辺は、サン族の伝統的な生活地域として知られています。

サン族は、アフリカ南部で長い歴史を持つ民族集団の一つと考えられており、人類学や遺伝学の研究においても注目されてきました。
ただし、「サン族」という名称は複数の集団をまとめた総称であり、内部には異なる言語や文化を持つ多様なグループが存在しています。
言語面では、多くのサン系言語が:
コイサン諸語(Khoisan languages)
と呼ばれる言語群に分類されています。
これらの言語は、
クリック音(吸着音)
を使用することで広く知られています。
ただし、すべてのサン系言語が同じ系統に属するわけではなく、現在も研究が続けられています。
伝統的なサン社会では、狩猟採集による生活が行われてきました。
主な活動には:
• 野生動物の狩猟
• 果実や根菜の採集
• 水資源の探索
などが含まれます。
また、乾燥した環境で生活するための豊富な自然知識を持っており、植物や動物に関する伝統知識は研究対象としても知られています。

サン族の社会では、小規模な集団による生活が一般的でした。
伝統的には、資源の共有や協力が重視される社会構造が見られます。
宗教・信仰面では、自然や動物、祖先、精霊との関係を重視する伝統的な精神文化が存在してきました。
儀式や治療の場面では、踊りや歌を伴う伝統的な儀礼が行われることもあります。
また、サン族は岩絵文化でも知られています。
南アフリカやナミビアなどには、多数の岩絵遺跡が残されており、
• 動物
• 狩猟
• 儀式
などを描いた作品が見つかっています。
これらの岩絵は、アフリカ南部の先史文化を理解するうえで重要な資料とされています。
近代以降、サン族の生活は国家形成や土地政策、自然保護区の設置などによって大きな影響を受けました。
その結果、多くのサンの人々は伝統的な生活地域から移動を余儀なくされました。
現在では、多くのサンの人々が定住生活を送っていますが、一部地域では伝統的な知識や文化が継承されています。
また、
• 土地権利
• 教育機会
• 言語保存
• 先住民権利
などに関する取り組みも進められています。
現在、サン族はアフリカ南部を代表する先住民族集団の一つとして知られており、その狩猟採集文化、クリック音言語、岩絵文化、自然知識は人類の文化的多様性を理解するうえで重要な存在となっています。

居住地

大陸:アフリカ大陸
・ボツワナ:特に中央カラハリ地域。
・ナミビア:北部および東部。
・南アフリカ:ノーザンケープ州の一部。
・他:ジンバブエ、アンゴラにも少数。

歴史

  • サン族の祖先は、アフリカ南部において最も古い文化層に属し、石器時代から現代に至るまで文化を連続的に維持。
  • 約2,000年前、牧畜民(バンツー系民族)が南部アフリカに進出し、次第に土地を失っていった。
  • 植民地支配下では迫害され、20世紀以降は土地権利回復運動も続く。

文化

  • 狩猟採集:弓矢を使った狩り、野草・果実の採集。
  • クリック音の言語:独特な発声方法を持つ。
  • 精霊信仰:自然精霊への信仰、トランスダンス(治療儀式)が有名。
  • 岩絵(ロックアート):動物や狩猟シーンを描いた古代壁画。
  • 小規模な移動型集落:数十人単位のバンド社会。


出典・さらに知るために

[1] ペン博物館 — Ostrich Egg, Water Bottle(31-2-134)。ボツワナの装飾された卵殻の水筒。

[2] ピット・リヴァース博物館 — Ostrich egg vessel(2004.142.1110)。卵殻の容器の作り方や栓についての解説。

[3] ハーバード大学ピーボディ博物館 — Ostrich eggshell water container(971-2-50/11596)。開口部に葦を詰めたジュホアンシの容器。

[4] Lander, F. & Russell, T.(2020). A southern African archaeological database of organic containers and materials, 800 cal BC to cal AD 1500: Possible implications for the transition from foraging to livestock-keeping. PLOS ONE 15(7), e0235226。卵殻による水の運搬・貯蔵についての考察を参照。

サン族の旗・シンボル

公式な民族旗は存在しない。

サン文化を象徴するシンボル

  • 弓矢:生存と狩猟を象徴。
  • 動物の足跡:自然との共生を表す。
  • 精霊ダンスのモチーフもシンボリックに使われることあり。

言語

サン語の特徴

  • クリック音(吸着音)を含む非常に珍しい発音体系。
  • 語順は柔軟で、豊富な動詞形態を持つ。

主なサン族言語

  • ジュホアン語群(Juǀʼhoan)
  • !Kung語
  • Nǁng語

ジュホアン語-言語学的特徴と表記体系

語族分類と歴史的背景

San Image
San People Image

ジュホアン語(Juǀʼhoan)は、ボツワナ北西部およびナミビア北東部のサン(San、ブッシュマン)によって話される言語ですen.wikipedia.org。従来「コイサン語族」と総称されてきた南部アフリカの吸着音(クリック音)を持つ言語群に属し、特にジュホアン語は「北部コイサン」に分類される!クン語群(Ju-!Kung)の一種ですrepository.kulib.kyoto-u.ac.jp。近年の研究ではコイサン諸語は系統的に統一的でないとされ、ジュホアン語はKxʼa(カッハ)語族に属するとも分類されていますen.wikipedia.org。サン族は現生人類で最も古い集団の一つとされており、その言語であるジュホアン語もアフリカ最古層の言語の一つと考えられますpeoplesoftheworld.org。現在の話者数はナミビアとボツワナあわせて数千人程度で、ボツワナでは少数派言語として社会的に軽視され、学校教育でも用いられない状況ですendangeredlanguages.com。

音声の特徴

ジュホアン語最大の特徴は吸着音(クリック音)と呼ばれる特殊な子音を多数含むことです。その音声体系は非常に複雑で、複数種類のクリック(歯音「ǀ」、側面音「ǁ」、歯茎音「ǃ」、硬口蓋音「ǂ」など)を持ち、それぞれに有声音・無声音・放出音などの変種が加わるため子音の種類はきわめて多様ですpeoplesoftheworld.org en.wikipedia.org。母音も5つの基本母音に加え、長短・鼻音化・声門化・囁き声などの区別があり、さらに声調(超高・高・低・超低の4段階)を持つため音韻体系全体では極めて多くの弁別的音素を有しますen.wikipedia.org。
例えばジュホアン語には30を超える母音音素が存在しうると報告されていますen.wikipedia.org。こうした複雑な音声は、「ワイン瓶の栓を抜くときのポンという音」に例えられる独特なクリック音を中心に据えたものでありpeoplesoftheworld.org、文法的にも性や数の区別を持たないなど周辺のバントゥー語とは大きく異なる特徴を示します。

表記体系

ジュホアン語は伝統的に固有の文字を持たず、1970年代以降になってラテンアルファベットを用いた表記法が考案されました。南アフリカ教育省の委嘱による初期の表記法(1969年採用、1975年改訂)や、聖書翻訳に向けた1987年の表記法など数種類が試みられた後omniglot.com 、1990年代にナミビアのジュホアン語話者コミュニティと言語学者パトリック・ディケンズの協働による実用的な正書法が策定されましたendangeredlanguages.com。ディケンズのローマ字表記法は1991年にナミビア政府で公式採用され、以後ジュホアンシ(Ju|’hoansi)たちは自らの言語を読み書きできるようになっていますendangeredlanguages.com。

ジュホアン語正書法の最大の特徴は、クリック音に専用の記号を割り当てている点です。正式な表記ではクリック音を表すためにUnicodeで定義された特殊記号(歯音クリック=ǀ、側面クリック=ǁ、歯茎クリック=ǃ、硬口蓋クリック=ǂ など)を用いますが、一般の字体では近似的に「|(縦棒)」「||(二重縦棒)」「!(感嘆符)」「=(等号)」などで代用されますpeoplesoftheworld.org。これら特殊記号を正しく表示するには対応フォントが必要でありpeoplesoftheworld.org、デジタル環境では専用フォントの導入によってジュホアン語の表記が可能になります。また声調や声門化を示すための記号としてアキュートアクセントやアポストロフなども用いられますen.wikipedia.org en.wikipedia.org。

ジュホアン語の実際の表記例として、右図は「Juǀ’hoan Tsumkwe Dialect(ジュホアン語・ツムクウェ方言)」と題された児童向け三か国語辞典の表紙ですpeacefulsocieties.uncg.edu。中央上部にジュホアン語で書かれた題名(Daʼabi!oa N≠omtciasi Kokxuisi ≠Xanua)とともに、下部にはアフリカーンス語「Prentewoordeboek vir Kinders」(子ども向け絵辞典)および英語「Children’s Picture Dictionary」の訳が併記されています。ジュホアン語部分では「!」「≠」といった記号が含まれており、クリック音や特殊音素の存在を物語っています。このように表記法の確立によって、ジュホアン語の物語や辞書が出版され文字記録が蓄積されつつありますendangeredlanguages.com peacefulsocieties.uncg.edu。

データ元(参照文献)

文字

伝統的には無文字言語

・20世紀以降、学者たちによってラテン文字表記が整備され、現在は一部で書き言葉が用いられる。
・クリック音は、特別な記号(例:| ǀ ǃ ǂ ǁ)で表記される。

サン族の挨拶・定番表現

日本語 サン族言語(例:ジュホアン語) 発音イメージ
こんにちは ǃNara (ナラ) ナラ
おはよう ǀUi (ウィ) ウィ
ありがとう ǂKhom (コム) コム
よろしくお願いします ǁGae (ガエ) ガエ
おやすみ ǃOa (オア)) オア
美味しい !Gum (グム) グム
楽しい ǀGoro (ゴロ) ゴロ

言語の起源

  • コイサン語族は、人類の「最古の言語系統」と考えられる。
  • 遺伝学的にも、サン族は人類最古層のDNAを保持。
  • クリック音は、狩猟時の動物への接近や集団間コミュニケーションに有利だった可能性もあるとされる。

現地ガイド

サン族の通貨はボツワナ、プラ (BWP)

0.065 EUR / 0.075 USD / 10.73 JPY / 0.54 CNY / 0.12 AUD / 0.096 SGD / 0.59 HKD / 0.055 GBP / 6.43 INR
詳しい換算はこちら:https://www.xe.com/currencyconverter/

サン族(ナミビア・ボツワナ)への主要都市からのアクセス例

出発都市 経由/直行 到着空港 所要時間(目安) 参考運賃(片道/往復, エコノミー)
東京 東京→中東/ヨーロッパ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約23~32時間 ¥190,000~320,000
ロサンゼルス LA→ヨーロッパ/中東経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約22~30時間 US$1,300~2,200
ニューヨーク NY→ヨーロッパ/中東経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約21~29時間 US$1,200~2,000
ロンドン ロンドン→ヨハネスブルグ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約14~19時間 £750~1,300
シドニー シドニー→ヨハネスブルグ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約23~32時間 A$1,900~3,100
香港 香港→ヨハネスブルグ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約21~28時間 HK$9,500~15,000
上海 上海→ヨハネスブルグ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約22~29時間 元8,800~14,000
シンガポール シンガポール→ヨハネスブルグ経由→ウィントフック ウィントフック国際空港(WDH) 約20~28時間 S$1,400~2,300

サン族(ジュホアンシ)の伝統的な遊び

子どもの「狩猟ごっこ」

サンのジュホアンシの社会では、子どもたちは遊びを通じて生活技能を学習します。典型的なのが狩猟の模倣遊び(狩猟ごっこ)で、幼い男の子たちは大人の道具を模した小さな弓矢や石投げ(パチンコ)を自作し、小鳥やトカゲなどの小動物を仕留める遊びに熱中しますresearchgate.net。少女たちも食物採集に関連した遊び(小さな籠を使った真似事など)に携わり、男女それぞれ将来に必要な動作を遊びの中で体得しますresearchgate.net。これらの狩猟遊びは一見「練習」のようですが、子どもたちにとってはあくまで遊びであり、獲物を得ること自体が目的ではありませんpeacefulsocieties.uncg.edu researchgate.net。大人は狩りの方法を直接教え込むことはほとんどなく、年長の子どもが年少の子を手助けしながら一緒に玩具を作ったり狩りごっこをしたりする中で、暗黙裡に技能が伝承されていきますlink.springer.com。実際、道具の作り方や使い方、動物の習性なども遊び仲間同士の模倣を通じて学ばれ、年長児が行き詰まる幼児を助けて弓矢を仕上げてやるような場面で技能伝承が起こることが観察されていますresearchgate.net。このように模倣を中心とした遊びはジュホアンシの子どもの社会学習の核であり、創造性も育まれますlink.springer.com。狩猟ごっこで使われるおもちゃの弓矢・槍・道具類は往々にして親が手作りして与え、子どもたちはそれらを使って自由に遊びながら将来の狩人・採集者としての素地を身につけていくのですresearchgate.net。

興味深い点に、ジュホアンシの子どもの遊びには競争や勝敗に重きを置かないことが挙げられます。狩猟ごっこでも誰が多く獲物を捕ったかは問題にされず、年齢や能力の違いがあっても皆で一緒に楽しむことが重視されます。もともと一つのキャンプ内の子どもの数自体が少なく(年齢幅も乳児から若者まで広いため同じ年頃の子が少ない)、チームを作って競争するような遊びは成り立ちにくい事情もありますが、それ以上に競争心を煽らない文化が背景にありますpeacefulsocieties.uncg.edu。「能力に差があっても子どもたちは純粋に遊びそのものを楽しみ、勝ち負けを競うことはしない」と報告されておりpeacefulsocieties.uncg.edu、この非競争的な姿勢はサン社会の平等主義(どんな優れた猟師も誇らない・威張らない)と一貫しています。もし子どもの喧嘩や攻撃的行動が起これば大人がすぐに仲裁し、対立が深まらないよう注意が払われますpeacefulsocieties.uncg.edu。こうした環境のおかげで、狩猟遊びも安全かつ協調的に行われ、子ども達は遊びから狩りのコツや協働の精神を自然に学んでいきます。

音楽・舞踊を取り入れた遊戯

サンの伝統文化では、音楽やリズムに合わせた遊びも重要な役割を果たします。夕暮れ時になるとキャンプでは老若男女が集い、歌い踊りながらの遊戯が始まりますgreengirlsinafrica.com。子どもから大人まで一緒になって輪になり、手拍子や歌に合わせて身体を動かす遊びは、娯楽であると同時に共同体の連帯感を深める役割も持っています。キャンプの夜には食事の後、遠くまで響く歌声とともに男性たちが伝統の治癒の踊り(トランス・ダンス)を演じることもありますgreengirlsinafrica.com。子ども達もそれを見習い、火を囲む大人たちの真似をして踊ったり、歌のフレーズを覚えて一緒に歌ったりしますgreengirlsinafrica.com。このような音楽を通じた遊びは日常生活と儀礼の橋渡し的な意味合いも持ち、楽しみながら文化を次世代に伝える手段ともなっています。

ジュホアンシにはいくつかの代表的な伝統ゲーム(遊戯)があり、固有の名称と音楽(歌)を伴って伝承されています。記録によれば、「縄跳び遊び(ロープゲーム)」「メロン遊び」「戦いごっこ(戦争ゲーム)」「ヤマアラシ狩りゲーム」といった遊戯カテゴリが存在し、それぞれに対応する民俗歌謡のレパートリーがありますrepository.kulib.kyoto-u.ac.jp。例えば「ロープゲーム (n!haru)」には12曲からなる専用の歌群があり、「メロンゲーム (tamah)」には10曲の歌が伝わっています。これらは主に娯楽・余興として行われ、料理の合間や狩猟から戻った夕べなどに皆で歌い興じるものです。なかでも特に有名なのが、戦争ゲーム(n!àì)と呼ばれる遊戯です。戦争ゲームは一種のジェスチャーゲームで、対立する2チーム(しばしば「ステインボック(小型のレイヨウ)」チーム対「稲妻」チームと名付けられる)に分かれて行いますlink.springer.com。参加者たちは輪になって独特のリズムを持つ歌「ステインボックの歌」を歌いながら手拍子を打ち、音楽の拍に合わせて互いに腕を突き出すパantomime(即興の身振り)で勝負を競いますlink.springer.com。両者が同じ側の腕を出したか、左右異なる腕を出したかで得点が決まり、それを繰り返して得点を争うチーム対抗戦です。この遊びにはタイミング感覚と即興の演技力が要求され、「巧みな身振りで人や動物の動きを真似ること(!Kungの人々は物真似の才能に富むと評される)が上手な者が名人とみなされる」と報告されています。もっとも子どもの日常遊びとは異なり、戦争ゲームは勝敗を競う要素を持つ珍しい遊戯です。ただし勝っても誇らず負けても笑い合うのが基本で、あくまで ritualized な競争として楽しむものです。

戦争ゲーム(n!àì)

元々ジュホアンシ社会に古くからあった**「ヤマアラシ・ゲーム」(!om、別名で「斧ゲーム」「槍ゲーム」とも)という伝統遊戯から発展したものだと考えられていますcollections.peabody.harvard.edu link.springer.com。ヤマアラシ遊びでは男性たちが輪になって踊りながら、槍や斧を持つ仕草で狩猟や戦いを模したとされ、成功した狩猟の祝賀儀礼の際にのみ演じられる限定的な出し物でしたlink.springer.com。実際、マーシャルの報告によればヤマアラシゲームは大物狩りが成功した夜の祝宴で男性だけが演じる儀式的ゲームであり、狩猟の神に感謝する意味合いもあったようですlink.springer.com。一方、戦争ゲーム(n!àì)は時と場所を選ばず日常的に遊べる娯楽ゲームとして発達し、女性も含め誰もが参加できる包摂的なものになっていますlink.springer.com。さらに戦争ゲームではチーム制や得点制度が導入され、純粋な遊戯・競技としての面が強まりましたlink.springer.com。20世紀後半、ボツワナ政府による狩猟禁止政策により伝統的な狩猟儀礼が行えなくなると、狩猟祝いのヤマアラシ・ゲームは次第に廃れ、その代替として戦争ゲームがコミュニティの娯楽として定着したとも言われますlink.springer.com。現代では戦争ゲームがサンの代表的な伝統遊戯として紹介されることも多く、ジュホアンシたち自身もこのゲームを誇りとしていますgreengirlsinafrica.com。

このように、サン族ジュホアンシの伝統的な遊びは子どもの学習と大人の社交・儀礼の両面に深く関わっています。狩猟ごっこや遊戯の数々は単なる娯楽にとどまらず、文化の継承や社会的価値観の体現手段となってきました。遊びを通じて次世代に受け継がれるジュホアンシの知恵と文化は、現代社会においても貴重な財産であり続けています。

1.弓矢遊び

子供たちが小型の弓矢で狩猟ごっこをする。

2.追いかけっこ(狩猟模擬)

動物の足跡をたどりながら追跡する訓練型の遊び。

3.精霊ダンスごっこ

大人の治療儀式を真似た踊りを子供たちが行う。

Introduction video

San People photo
San People photo

The San people's culture, language, and way of life offer a profound glimpse into the resilience and adaptability of humanity's ancient roots.

データ元(参照文献)

Related Peoples