サーミ族の文化バナー

サーミ族

・サーミ族は、スカンジナビア半島北部とコラ半島(ロシア)に暮らす、ヨーロッパ最北の先住民族。
トナカイ遊牧、伝統衣装、歌(ヨイク)自然との共生を大切にする文化で知られる。
・北欧では少数派ながら、環境保護・言語保存・文化復興などで国際的注目を集めている。

居住地

通称「サーミランド(Sápmi)」と呼ばれる地域に暮らす。

歴史

・古代からこの地域に定住し、狩猟採集→トナカイ遊牧へと発展。
・中世以降、北欧諸国によりキリスト教化や土地収奪、言語禁止などの同化政策を受ける。
・20世紀後半からサーミ議会の設立・文化復権が進行。現在は少しずつ民族アイデンティティの再興が進んでいる。

文化

トナカイ遊牧:冬と夏の牧地を巡る移動生活(現在は半遊牧+定住も増加)。
民族衣装(ガクティ/gákti):地域や家系で色・模様が異なり、婚姻状況も示す。
ヨイク(joik):旋律的な詠唱で、人・動物・自然を讃える。楽器なしの“歌う祈り”。
食文化:トナカイ肉、ベリー、魚、ミルク製品中心の高地適応型。

サーミ族の旗・シンボル

サーミ族の旗

サーミ民族旗(1986年制定)

・赤・青・緑・黄の4色は民族衣装の色。
・中央の円は「太陽(赤)と月(青)」を表現。

その他シンボル

トナカイ、太陽と自然信仰、ドラム(シャーマン儀式) など。

言語

サーミ語(Sámi languages)

・ウラル語族に属し、フィンランド語・ハンガリー語と遠い親戚関係。
・現在約 9言語があり、お互いには通じにくいほどの差がある。

主なサーミ語

・北サーミ語(最も使用者が多い)
・スコルト・サーミ語
・ルーレ・サーミ語 など

文字

・近代以降はラテン文字を使用(各言語ごとに綴りが異なる)。
・声調や母音調和が特徴的で、専用文字(ŋ、đ、čなど)も使用。
・書き言葉としての標準化は近年急速に進んでいる。

北サーミ語の挨拶・定番表現

日本語 北サーミ語 発音の目安
こんにちは Bures ブレース
おはよう Buorre iđit ボーレ イィディト
ありがとう Giitu ギートゥ
よろしくお願いします Don leat buorre ドン レアットゥ ボーレ
おやすみ Buorre idja ボーレ イジャ
美味しい Leago buorre レアゴ ボーレ
楽しい Illu イルゥ

地域

大陸:ヨーロッパ

サーミランド(Sápmi)

ノルウェー:トロムス県、フィンマルク県など(人口最多)
スウェーデン:ノールボッテン県
フィンランド:ラップランド地方
ロシア:トラ半島のロヴォゼロ周辺
・現在の人口はおよそ 8万〜10万人。

言語の起源

・サーミ語は、古代のウラル語族から分化した言語で、紀元前の段階でフィン・ウゴル系言語と分かれた。
・トナカイ狩猟など北方文化と深く結びつき、言語の中にも自然語彙が豊富。
・文字による記録は18世紀以降。現在は学校教育・メディアでも使用されている(地域差あり)。

伝統的な遊び

1. トナカイそりレース

・冬祭りや民族イベントで行われる競技。競技用に改良されたソリを使用。

2.石投げ(Bealljeháhkat)

・小石を高く投げ、的に当てる遊び。狩猟の訓練由来。

3.伝承詩のヨイク合戦

・即興のヨイクで相手と競い合う、歌の掛け合い形式。

4.木の道具作り遊び

・子供が大人の真似をして木のナイフやソリを作る工作遊び。

紹介動画

サーミ族の写真
サーミ族の写真